東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二副所長と北村明彦研究部長らの研究グループは、フレイルが日本人高齢者の中長期的な自立喪失(要介護発生または死亡)の有意の危険因子であることを明らかにしました。同時に、高齢期のメタボリックシンドロームは、その後の自立喪失には影響を及ぼしていないことを示しました。
本研究では、群馬県の一地域の高齢者約1,500人の平均7年(最大12年)の追跡研究により、フレイル、メタボリックシンドローム等の諸因子による、自立喪失(要介護発生または死亡)のリスク上昇の程度を明らかにしました。その結果、男女ともにフレイル群、プレフレイル群(フレイルの予備群)はフレイル無し群に比し、自立喪失発生率は有意に高率で、フレイル区分別にみた自立曲線はきれいに分かれました。
一方、メタボリックシンドローム区分と自立喪失発生率との間には一定の関連は認められず、自立曲線にも明らかな差は見られませんでした。
この研究成果は、健康寿命延伸を目標とするわが国の高齢者保健・健診体系の変革に大きく貢献するものと期待されます。
本研究は、日本公衆衛生雑誌10月号(第64巻・第10号)(外部サイトへリンク)に掲載されました。