「The Journals of Gerontology: Series A」の電子版に、社会参加と地域保健研究チーム(ヘルシーエイジングと地域保健研究テーマ)の谷口優研究員、北村明彦研究部長らは「日本人高齢者における高次生活機能の加齢変化パターンと総死亡及び医療費介護費との関連」について発表しました。
Association of Trajectories of Higher-Level Functional Capacity with Mortality and Medical and Long-Term Care Costs Among Community-Dwelling Older Japanese.
「日本人高齢者における高次生活機能の加齢変化パターンと総死亡及び医療費介護費との関連」
Taniguchi Y, Kitamura A, Nofuji Y, Ishizaki T, Seino S, Yokoyama Y, Shinozaki T, Murayama H, Mitsutake S, Amano H, Nishi M, Matsuyama Y, Fujiwara Y, Shinkai S.
「The Journals of Gerontology: Series A」(2018年3月26日電子版にて掲載)
https://doi.org/10.1093/gerona/gly024
本論文は、草津町で行っている長期縦断研究のデータを利用し、地域在住高齢者2675名を最長10年間追跡調査した結果から
①高次生活機能の加齢変化パターンを類型化し、
②死因別死亡のリスクを調べ
③更に医療費、介護費の差を調べました。
主な結果としては、高齢者の6.1%は65歳時点で高次生活機能が既に低く、その後90歳まで機能は低下し続けることがわかりました。この群の死亡リスクは高く、特に心血管病死亡と、癌以外の死亡リスクが高い結果となりました。 さらに、高齢になるにつれて医療費は下がるものの、介護費は高齢になるほど高くなることがわかりました
また、65歳から75歳頃まで高次生活機能が保たれるのは全体の40.1%、65歳以降に高次生活機能が低下するのは全体の17.4%でした。これら2つの集団は、65歳時点での高次生活機能は同水準であるものの、65歳以降に機能が保たれるか否かの違いがあります。17.4%の集団は、40.1%の集団に比べて、心血管性の死亡リスクが高いことがわかりました。17.4%の集団の介護費は、高齢になるにつれてどんどん高くなります。
本研究から、65歳以降に高次生活機能を維持できるかどうかが、本人の死亡リスクだけでなく、介護費といった社会保障費に大きな差をもたらすことがわかりました。