研究統括責任者からのご挨拶
気仙沼スタディについて
2011年の東日本大震災から8年が経過しました。当センターは、震災後まもなく「東日本大震災被災者支援研究」を立ち上げ、被災地の関係機関と連携してこれまで様々な支援活動とそれを通じた「お役立ち」情報の発信を行って参りました。また、昨年11月、当センターと被災地自治体の一つである気仙沼市との間で包括連携協定を締結し、専門職等人材の育成、健康長寿のまちづくり、学術研究への貢献を主な目的として、創生期に入った同市と連携して「気仙沼スタディ」をスタートしました。
本研究がもつもう一つの意義は、近い将来起きることが予想されている首都圏直下型地震などの大規模災害に備えるための知見が得られることです。特に、東京のような大都市部では、住民の社会的孤立が大きな課題であり、これは災害に遭遇したときの弱点になります。気仙沼市では被災後、多くの住民が住む地域や家族形態が変わることを経験しました。そうした地域において新たな環境下で、人々がどのように「他者とのネットワーク」を新たにつくるのかを調べ、また、うまくつくれるようサポートする方法を見いだすことは、当センターだけでなく大都市東京とそこに暮らす都民にとって大きなメリットがあります。
このように、気仙沼スタディは、創生期を迎えた被災地気仙沼市との連携事業を通じて、得られた成果を大都市東京のまちづくりに生かすという意義を持った研究事業なのです。
メンバー
研究統括責任者 |
新開省二 |
副所長 |
研究部門内の構成員 |
菅原康宏
粟田主一 宇良千秋 大須賀洋祐 石崎達郎 大渕修一 島田千穂 増井幸恵 涌井智子 江尻愛美 藤原佳典 北村明彦 清野諭 横山友里 野藤悠 成田美紀 倉岡正高 山下真里 稲松孝思
|
社会参加と地域保健研究チーム、リハビリテーション科 兼務、気仙沼スタディ事務局長(気仙沼市健康長寿のまち づくり連携事業コーディネーター、「気仙沼支援 医療・ 福祉関係5団体」事務長を兼務) 研究部長 自立促進と精神保健研究チーム 自立促進と精神保健研究チーム 自立促進と精神保健研究チーム 研究部長 福祉と生活ケア研究チーム 研究部長 福祉と生活ケア研究チーム 福祉と生活ケア研究チーム 福祉と生活ケア研究チーム 福祉と生活ケア研究チーム 介護予防推進支援センター 研究部長 社会参加と地域保健研究チーム 研究部長 社会参加と地域保健研究チーム 社会参加と地域保健研究チーム 社会参加と地域保健研究チーム 社会参加と地域保健研究チーム 社会参加と地域保健研究チーム 社会参加と地域保健研究チーム 社会参加と地域保健研究チーム 研究所協力研究員
|
病院部門及び他機関の構成員 |
鳥羽研二 許俊鋭 井藤英喜 金丸晶子 加藤貴行 桑田直弥 樋口和奏 熊木陽平 篠山絵里奈 本田拓也 田中春菜 牧田彩加 平野浩彦 越坂部剛 阪本和嘉子 高橋龍太郎
|
理事長 センター長 名誉理事長 リハビリテーション科 リハビリテーション科 リハビリテーション科 リハビリテーション科 リハビリテーション科 リハビリテーション科 リハビリテーション科 リハビリテーション科 リハビリテーション科 歯科口腔外科 事務部長 経営企画課長 多摩平の森の病院 院長、「気仙沼支援 医療・福祉関 係5団体」代表、けせんぬま復興アドバイザー
|
連携機関 |
宮城県気仙沼市 気仙沼市医師会 気仙沼地区地域医療委員会 気仙沼市医療・介護連携センター 気仙沼市社会福祉協議会 気仙沼・南三陸介護サービス法人連絡協議会 気仙沼歯科医師会 気仙沼市立病院 日本老年行動科学会 医療法人社団つくしんぼ会 獨協医科大学埼玉医療センター 子どものこころ診療センター 鶴見大学歯学部 特定非営利活動法人CEセンター(Child-rearing & Education support Center) 日本老年医学会
|
キーワード
災害支援、防災、東日本大震災、避難所、仮設住宅、復興支援、まちづくり、広域連携
主な活動(準備中)
- 被災地における地域保健福祉システムの再建、および、従来から続く課題への取り組み強化に向けた支援活動を計画・実施する
- 得られた知見を首都圏防災における高齢者支援に役立てる
活動紹介(準備中)
平成24年度の主な支援内容は以下のとおりです。
- 福祉サービス復旧を担う専門職及びサポートセンター支援を目的とした包括的な研修講座の開催気仙沼市と共同)、住民を主体とする介護予防体操普及サポーター養成講座の開催(気仙沼市と共同)、仮設住宅居住高齢者を対象とした介護予防講座の実施(相馬市と共同)
- 1-1. 「気仙沼支援医療福祉関係5団体」の組織化と包括的な研修講座の運営
2012年1月、以前から専門職の不足が目立っていた気仙沼市における専門的な知識の提供、人材育成に向けて「気仙沼支援医療・福祉関係5団体」を組織化し、年間を通じた研修を実施しています。
- 1-2. 気仙沼市における介護予防体操普及サポーター養成講座
仮設住宅は市内各所約100か所に広がっているため介護予防の普及活動の展開が難しいので、市民と行政が共同して介護予防体操会を各所で展開することで、社会ネットワークの拡充、互助機能の回復をめざし、40名の高齢の市民を対象に、気仙沼市と協働で養成講座を開催しました。
- 1-3. 相馬市における支援活動
仮設住宅居住高齢者を対象とした介護予防講座実施支援
相馬おはなしの会を通じた世代間交流活動
震災による介護費、医療費の利用状況の変化と行政課題抽出
- 首都圏防災に向けた調査、普及活動の実施
- 2-1. 東京都内介護サービス事業者の防災対策調査
通所系事業所、有料老人ホームの在宅高齢者への防災支援対応を検討するため、郵送調査を平成24年10月に実施しました。その結果、震災時営業していた事業所の約3割が利用者を事業所に滞在させ、約1割が利用者を宿泊させていたことがわかりました。また、災害が発生した場合、半数の事業所が在宅高齢者の一時的避難の受け入れを検討すると回答しました。
- 2-2. 災害支援セミナー"つなぐ"シリーズの連続開催
東日本大震災の経験を首都圏防災につなぐ目的で連続セミナーを開催しました。
第1回10月30日 立谷秀清氏(相馬市長)
第2回12月21日 横山成邦氏(気仙沼市立病院外科科長)
第3回1月31日 小山剛氏(長岡市高齢者総合ケアセンターこぶし園総合施設長)
主要文献
- 粟田主一 : 災害時における高齢者の精神科医療の課題. Geriatric Medicine, 50(3), 301-304, 2012
- 粟田主一 :災害精神医療の現状-老年精神医学領域の問題点と課題. 老年精神医学雑誌, 23(2), 204-208, 2012
- 塩満芳子 : 東日本大震災における被災地復興に向けた保健師の取り組み. インターナショナル・ナーシングレビュー, 35(3),173-179, 2012