東京都健康長寿医療センター理事長
鳥羽研二
令和元年6月1日付で理事長に就任いたしました鳥羽研二です。
東京都健康長寿医療センターは、1872年に設立された養育院を前身としています。令和の紙幣を飾る渋沢栄一翁は養育院の初代院長でもあり、福祉・医療事業の維持・発展のため五十有余年にわたり力を尽くしました。その精神は、先人たちにより脈々と受け継がれ、2009年に東京都老人医療センターと東京都老人総合研究所両施設が一体化するかたちで地方独立行政法人となり、今日に至ってもなお、高齢者医療のパイオニア・老年学研究の拠点として、活発な診療・研究活動を展開しております。
超高齢社会がピークを迎える2040年において、健康寿命を最も阻害する上位には、血管疾患、がん、認知症、糖尿病、フレイル(転倒)、慢性疼痛(腰痛)、感覚器(難聴、視力障害)が挙げられており、臨床老年医学、基礎老年学及び予防を含めた老年社会学の重要性は、わが国の主要な研究の柱に位置付けられていくでしょう。そして、これらは当センターが主要な研究テーマとしてこれまで取り組んできているものでもあります。
病院部門においては、「患者さんにとって最適な医療とは何か」を医療者の共通の思いとし、患者さん及びご家族の満足度をさらに向上していきたいと思います。
2025年には都の後期高齢者人口は約200万人となることが見込まれるなど、大都市が地域ごと老いていく21世紀において、当センターは、地域の医療福祉機関との連携のみならず、行政や研究機関等とも融通無碍な共同作業を地道に続けて、この大きな波に立ち向かってまいります。
足りないところなど忌憚のないご意見をお寄せください。皆様のご意見が我々の新しい課題となります。我々はその課題を乗り越えるために、今までよりも一層ファイトが湧く組織であり続けたいと思います。