在宅での高齢者の健康づくりを応援する生活習慣チェック表の作成

社会参加と地域保健研究チーム 山下真里

 新型コロナウイルス流行に関連して厚生労働省から新しい生活様式が発表され、我々の生活は感染症への対策を中心とした生活へと変化してきています。このような感染症対策の一方で、高齢者の社会的孤立やフレイル(心身機能の低下によって要介護となる危険性が高まっている状態)、認知症等の進行が助長されることが懸念されています。フレイル・認知症対策においては、これまでは積極的な外出や社会参加が重要視されてきましたが、密集・密接・密閉といった3密を避けること、人と人との間隔を保つ「ソーシャルディスタンス」といった新しい概念により、今後は非対面下や在宅での健康づくり方策を併せて検討していく必要があります。
 以上のような観点から、我々の研究チームは、感染症流行の初期から、自粛期間中におけるフレイル予防のポイントをまとめた「感染症対策期間中にも、健康的な生活習慣を維持するために」(https://www.healthy-aging.tokyo/からダウンロード可)を提示いたしました。これは、東京都福祉保健局高齢社会対策部在宅支援課を通じて3月16日付で都内全区市町村に配布されました。また、自立促進と精神保健チーム(認知症と精神保健研究)の協力を得て、板橋区高島平ココからステーション(コミュニティカフェ)でも配布したところ、現場の職員の方が「ただ生活習慣の注意点を見て納得するだけではなく、行動に移せるようなチェックリストが欲しい」「生活が大きく変わって戸惑われている方々が、日々の励みにできるものがあったら良い」ということで、チェックリストのたたき台を作成してくださいました。他の自治体からも、同様の声が寄せられました。このような社会的ニーズに応えるべく、研究チームの各研究員の専門性を生かして制作したのが、以下にご紹介する生活習慣チェック表「本日の8ミッション」です。

「本日の8ミッション」の特徴

 「本日の8ミッション」は、具体的に①運動、②栄養・口腔、③社会・心理、④セルフケアの4つの観点から、自宅で実践できる1日の行動目標(8つのミッション)を設定したものです。これらは、フレイル・認知症予防に関する長年の疫学研究成果と実践研究による経験則をもとに作成されています。自粛生活でなくても、毎日の生活に取り入れていただきたい内容ですが、生活リズムや、歯磨きや入浴といった基本的な生活習慣や、非対面による交流の仕方、メンタルヘルスの保ち方などの項目が盛り込まれているのが大きな特徴です。まずは1日の自分の行動をチェックするところから始めることができ、もっと取り組める人は、うら面にある1週間の記録表に取り組むことができます。現在、本日の8ミッションは4週間分(4パターン)が作成されており、1か月間活用することで、健康的な生活の習慣化を図ることができます。この8ミッションのデザインおよびイラストは、すべて遠峰結衣研究員(社会参加と地域保健研究チーム)が担当しました。子どもから大人まで誰でも手に取りたくなるイラストと、チェックしてみたいと感じるデザインとなっています。

このような方に試していただきたい

 本日の8チェックは、健康維持のために何かしたいと思っていても、何をすればよいかわからない、なかなか続かないとお悩みの方に使用して欲しいと思っています。また、外出して社会活動に参加することはとても大事ですが、家の中にいても社会交流を続けたり、健康のために実践できたりすることはたくさんあります。感染症流行やその他の事情で、外に出かけづらい方に、自分で実践したことを確認して、日々の生活に少しの達成感を感じてもらえると良いです。1人でも楽しく続けられるようにデザインされていますが、夫婦や、親子、孫など誰かと一緒に取り組むことで、より継続しやすくなると思います。現在、地域住民や地域の支援者、専門職、自治体など幅広い層の方々から多数お問い合わせをいただいています。近々、このような反響を反映させた新しいバージョンを発表する予定です。ご興味のある方は、上記のURL からダウンロードしてください。

その1~その4をまとめてダウンロードする場合はこちら

その1                        その2
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その3                       その4
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