コメディカル紹介~MSW(メディカルソーシャルワーカー編)~
整形・脊椎外科 専門医長 金子泰三(かねこたいぞう)
「歩くと股関節が痛い」「靴下をはくのが辛い」「立ち上がりや階段が痛くて難しい」こんな悩みを抱えていませんか?それは、もしかすると股関節の病気かもしれません。
変形性股関節症は、強い痛みを伴い、股関節の動きが悪くなったり、足の長さが短くなったりすることで歩き辛さが生じる病気です。
人工股関節全置換術は、変形し傷んでしまった股関節を、金属やセラミックなどで作られた人工のパーツに置き換えることで人工的に股関節を再建する手術であり、股関節の痛みを取り除き、股関節の動きを取り戻すことができる唯一の治療方法です。
従来の後方アプローチではお尻から切開し、お尻の筋肉を切って関節に進入するため、術後の痛みが強かったり、脱臼 ( 人工関節が外れてしまうこと) のリスクが高かったり、回復に時間がかかるなどの問題点があります。一方、私は太ももの前側に小さな切開を加え、筋肉のすき間から関節に進入する前方最小侵襲手術アプローチ (Direct Anterior Approach:DAA) で手術を行っています。筋肉や腱を切らないだけではなく、軟部組織を可能な限り温存した手術を行うため、体への負担が少なく、術後の回復も早いのが特徴です。
人工股関節全置換術は、これまでに多くの患者様の「痛みのない生活」を取り戻してきた、安全で効果的な治療法です。前方最小侵襲手術アプローチによる人工股関節全置換術は、当院の特徴でもある高齢患者さんにおいても良好な治療成績を得ております。
「最近、歩くのが辛い」「痛みを感じずに自由に歩きたい」「諦めていた趣味を再開したい」そんな方は、お気軽に私の股関節外来 ( 月、金曜) までご相談ください。患者さんが安心して手術を受けられるよう、責任をもってサポートさせて頂きます。ありがたいことに手術を受けた多くの患者さんから、笑顔と共に「もっと早く手術しておけばよかった」とのお言葉を頂いております。
痛みのない新しい一歩を、自分自身の股関節で安心とともに踏み出してみませんか?
金子泰三のインタビューはこちら
https://www.kansetsu-itai.com/doctor/doc465.php
放射線診断科 医長 鈴木文夫(すずきふみお)
核医学検査は特定の臓器や組織に集まりやすい性質を持った放射性医薬品を体内に投与し、そこから放出される放射線を検出し、画像にすることにより体内の様子を調べる検査です。CT やMRI では人体の臓器の形態について評価しますが、核医学検査では臓器や組織の機能について評価することができます。
核医学検査は使用する放射性医薬品により、大きく分けてSPECT 検査とPET 検査の2 種類があります。SPECT 検査では1 方向の放射線を放出する放射性同位元素を利用した医薬品を用いるのに対し、PET 検査では2 方向の放射線を同時に正反対の方向に放出する放射性同位元素を利用した医薬品を用います。
当院では認知症について調べるための脳血流シンチグラフィーや心臓の働きを調べるための心筋血流シンチグラフィー、骨転移の有無を調べるための骨シンチグラフィー、悪性腫瘍の大きさや広がり、転移の有無を調べるためのFDGPET検査などを行っております。
核医学検査で使用される放射線医薬品は微量で、物理的減衰や排泄などにより短い時間で体内から消失します。放射線被ばくは、多い場合でもCT 検査程度の被ばくしかありません。わが国全体で年間180 万件以上実施されていますが、放射線障害の事例は発生していません。
また、核医学検査における副作用は投与10 万件あたり1.2 件とごくわずかです。副作用の内容自体も発疹、皮膚発赤、気分不良、頭痛、嘔気、嘔吐、ほてり、血圧低下、悪心、顔面紅潮、そう痒感などの一過性で軽度なものです。
核医学検査の多くは放射性医薬品を血管内に注射し、検査台の上に30 分ほど寝ていただいて画像を撮影します。一部の検査では放射性医薬品を内服していただくことや、放射性医薬品を投与した数日後に再度来院していただいて撮影となることがあります。食事や飲物を制限していただくこともあり、検査によっては下剤の服用や服用中の薬の一時的中止などをお願いする場合もあります。
当院ではSPECT 装置が3台ありますが、今年になって2 台新しいSPECT 装置と入れ替えました。キヤノン製GCA9300R は3つの検出器を搭載することで従来と比べ、検査時間を2/3 に短縮することができます。また頭部の検査でファンビームコリメータを使用することで、感度が2倍になり高画質な画像が提供できます。もう1 台シーメンス製Pro.Specta はSPECT とCTと合体した装置となっています。核医学検査と同時にCT を撮影することができ、両方の画像を重ね合わせることで、病変が体内のどこにあるのか以前よりも正確に診断することができるようになります。またCT に関しては、低被ばくのためより安心な検査が可能となっております。
これらの新しい装置の導入により患者さんによりよい医療を提供できるように貢献したいと思っております。
キヤノン製GCA9300R
シーメンス製Pro.Specta
地域連携課/ 在宅医療・福祉相談係 係長 奥村真木(おくむらまき)
ソーシャルワーカーとは「社会福祉士」「精神保健福祉士」の国家資格有資格者の総称で、医療機関で働くソーシャルワーカーのことを医療ソーシャルワーカーまたはメディカルソーシャルワーカーと呼びます。
医療機関における福祉の専門職として、患者・家族が抱える様々な課題について相談援助を行い、課題解決に向けて調整を行っています。
当センターのMSWは、昭和47 年「養育院附属病院」に新設された「医療社会科」が始まりです。当初は、福祉指導職3 名のスタートでした。
現在は、地域連携課/ 在宅医療・福祉相談係にMSWは配置され、常勤11 名、非常勤1 名、事務クラーク1 名が所属しています。
相談係の年間新規相談件数は約1,900 件で、退院に伴う相談が最も多く全体の約8 割を占めています。近年、〈単身・独居・身寄り無し〉といった患者層が多く、家族探しや経済的な問題解決、地域と連携し患者宅へ荷物を取りに行く、転院同行といった対応が増えています。全ての方が安心して治療に専念出来るよう、気持ちに寄り添い適切な支援を行うソーシャルワーカーでこれからも在り続けたいと思います。