メンバー
キーワード
デジタル技術、ウェアラブルセンサ、日常生活歩行速度、時系列データ、ライフログ、コーピング、ストレス対処
主な研究
- 日常生活歩行速度に関する研究
- 簡易生活機能評価指標の開発研究
- コミュニティアズパートナーモデルによる介護予防のアクションリサーチ
- サブスタッフによる要支援者への介護予防プログラムの確立
- 東京都介護予防・フレイル予防推進支援センターへの支援
- 介護予防運動指導員事業の支援
- 都市高齢者の社会、経済、健康格差を乗り越える研究
研究紹介
これまでの介護予防研究では、ハイリスクアプローチシステムの構築を目指し、スクリーニング方法の検討と無作為化比較対照試験による介入効果の検討が行われてきました。ところが、ハイリスク者と判断された人の中には介護予防への参加を望まない人も多く、これからの介護予防研究では、こうした参加を望まない人への介入手法の開発が課題です。私たちは、このような人では、地域における役割の欠如が介護予防行動を妨げていると考え、社会的交流(役割の創出)から始まる介護予防について研究を進めています。
具体的には、地域保健モデルであるコミュニティアズパートナーモデルによる住民主体の介護予防プログラム、およびデイサービスを教育拠点としたサブスタッフ養成などの、専門職と住民が共に地域の課題を解決する目的志向の介護予防プログラムを開発し、アクションリサーチや他の研究者の取り組みとの比較することによって有効性を検証しています。
このプログラムは「みんなで地域のフレイル予防を考える教室」略して「みんフレ」と言います。これまでの研究では、フレイル高齢者であっても地域のフレイル予防における課題や活用できる地域資源についてグループワークを行うことで、フレイル予防活動が増え、将来的なフレイル抑制につながることがわかっています。みんフレで使用するワークブックを作成しました。みんフレに関心のある自治体関係者の皆様にぜひご覧いただけたらと思います。
また、基礎研究として自宅で実施可能な介護予防評価指標の開発研究を行っています。ICTを活用し、歩行や認知機能評価などを簡易に実施できるようにすることにより、より若い世代より介護予防への理解が促進できることを狙っています。
これらの研究成果は、東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター、介護予防運動指導員養成事業に提供し、都民への積極的な研究成果の還元を行っていきます。
さらに、「都市高齢者の健康長寿医療研究会」と協力し、都市高齢者の社会、経済、健康格差を乗り越える研究も進めています。今後は社会構造の急速な変化が予想され、これへの適応能力が、個人の健康に大きな影響を与えると考えられます。従来の調査では脱落者となって補足しにくかった対象を特に重視し、自治体と連携しながら、医療・介護・福祉など社会資源の利用や地域活動への参加も含めて調査することによって、こうした社会構造の変化に適応できずに、いわゆる都市で孤立していく高齢者の姿が明らかになると考えています。この研究会は、病院部門と研究部門との緊密な連携の基に進められ、都内の自治体とも連携を図ることにより、孤立高齢者の課題を明らかにするだけでなく、新しい地域サービスの構築モデルを示すことが可能です。民間企業他、都市高齢者のネットワークづくりに資する団体と共同研究体制を作り、アクションリサーチの実施体制を構築しています。
令和2年度には、厚生労働省の老人保健健康増進等事業「デイサービスの拠点化による、軽度要介護者向け通所介護サービスへの住民参加の促進に関する調査研究事業」の交付を受け、サブスタッフ養成講座実施マニュアルを作成いたしました。総合事業の展開を模索している自治体の皆様の参考になれば幸いです。
サブサタッフ養成講座実施マニュアル サブスタッフ養成講座パンフレット みんフレワークブック
主要文献
- Keigo Imamura, Hisashi Kawai, Manami Ejiri, Hiroyuki Sasai, Hirohiko Hirano, Yoshinori Fujiwara, Kazushige Ihara, Shuichi Obuchi: Social isolation, regardless of living alone, is associated with mortality: The Otassha Study. Front Public Health. in press.
- Hisashi Kawai, Manami Ejiri, Keigo Imamura, Kumiko Ito, Yoshinori Fujiwara, Hirohiko Hirano, Kazushige Ihara, Shuichi Obuchi: Three-year trajectories of social networks, face-to-face interactions, and non-face-to-face interactions among community-dwelling older adults in Japan during the COVID-19 pandemic: Otassha study, Maturitas. 183:107943. 2024.
- Junta Takahashi, Hisashi Kawai, Manami Ejiri, Yoshinori Fujiwara, Hirohiko Hirano, Hiroyuki Sasai, Shuichi Obuchi. Predicting the incidence of mild cognitive impairment with a computer-based cognitive assessment tool in community-dwelling older adults: The Otassha Study. PLoS One. 19(1):e0297433, 2024.
- Takeshi Kera, Yosuke Osuka, Hisashi Kawai, Manami Ejiri, Kumiko Ito, Hirohiko Hirano, Yoshinori Fujiwara, Kazushige Ihara, Shuichi Obuchi, Development and Validation of Rapid Sarcopenia Screening: The Otassha Study, Geriatr Gerontol Int. 23(12):945-950, 2023.
- Hisashi Kawai, Manami Ejiri, Kumiko Ito, Yoshinori Fujiwara, Kazushige Ihara, Hirohiko Hirano, Hiroyuki Sasai, Hunkyung Kim, Shuichi Obuchi:Social interaction trajectories and all-cause mortality in older adults: the Otassha study. Front Public Health. 11:1248462. 2023.
- Takeshi Kera, Hisashi Kawai, Manami Ejiri, Kumiko Ito, Hirohiko Hirano, Yoshinori Fujiwara, Kazushige Ihara, Shuichi Obuchi: Respiratory sarcopenia is a predictor of all-cause mortality in community-dwelling older adults--The Otassha Study. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 14(4):1894-1899. 2023.
- Hisashi Kawai, Manami Ejiri, Keigo Imamura, Kumiko Ito, Yoshinori Fujiwara, Kazushige Ihara, Hirohiko Hirano, Shuichi Obuchi: Impact of combinations of subscale declines in higher-level functional capacity on 8-year all-cause mortality among community-dwelling older Japanese adults.Archives of Gerontology and Geriatrics. 114:105096. 2023.
- Junta Takahashi, Hisashi Kawai, Manami Ejiri, Yoshinori Fujiwara, Hirohiko Hirano, Hiroyuki Sasai, Kazushige Ihara, Kaori Ishii, Koichiro Oka, Shuichi Obuchi: Activity diversity is associated with the prevention of frailty in community-dwelling older adults: The Otassha Study. Frontiers in Public Health, 11:1113255. 2023.
- Hisashi Kawai, Shuichi P. Obuchi, Manami Ejiri, Kumiko Ito: Association between daily life walking speed and frailty measured by a smartphone application: a cross-sectional study. BMJ Open, 2023 Jan 6;13(1):e065098, 2023.
- Manami Ejiri, Hisashi Kawai, Keigo Imamura, Takeshi Kera, Kazushige Ihara, Yoshinori Fujiwara, Hirohiko Hirano, Hunkyung Kim, Shuichi Obuchi. The trajectory of psychological well-being during the COVID-19 pandemic and its association with health-promoting coping behavior among Japanese community-dwelling older adults: The Otassha Study. Exp Gerontol. 171:112029, 2023.
- 解良武士, 齊田高介, 樋口大輔, 小野沢浩, 篠原智行, 河合 恒, 大渕修一: 様々なサルコペニア定義におけるSARC-Fの有効性について, 日本予防理学療法学会雑誌, 2(1): 18-23. 2023..
- 伊藤久美子, 河合 恒, 西田和正, 江尻愛美, 大渕修一: 通所型サービス事業所を拠点とした総合事業対象者向け介護サービスの担い手養成プログラム「サブスタッフ養成講座」. 日本公衆衛生雑誌, 70(5):311-320. 2023..