センター長挨拶

粟田センター長.JPG       【職位
        認知症未来社会創造センター センター長
       【経歴
        山形大学卒
       【専門領域
        老年精神医学
       【所属学会
        日本認知症学会副理事長
        日本老年精神医学会理事
        日本認知症ケア学会理事

認知症未来社会創造センター センター長
     粟田 主一

 世界最高水準の長寿国であるわが国では、認知症とともに老年期を生きることは今や特別なことではありません。しかし、今日の私たちの社会には、認知症とともに暮らすには数多くの難題あります。特に、大都市東京では、認知症とともに一人で暮らす高齢者が急速に増加しており、それによって、社会的孤立、健康問題、経済的困窮、住まいの確保の困難など複合的な問題に直面している人々が増えています。このことは、認知症とともに生きる人々の市民としての権利が侵害されるリスクが高まっていることを意味しています。
 政府は2019年に認知症施策推進大綱を策定し、「共生」と「予防」を車の両輪にして施策を推進すると述べています。ここでいう「共生」とは、世界的な動向でもある「認知症フレンドリー社会」に一致するものです。それは認知症や障害に対する偏見や差別をなくし、誰もが普通に暮らせる社会を意味しています。一方、「予防」については、世界保健機関が「プライマリヘルスケアの中で認知症のリスクを低減していくこと」を推奨しています。それは、すべての人が、市民の権利として、必要な情報やサービスにアクセスし、それを利用しながら、健康的な暮らしを普通に営み、質の高い生活を継続できるようにしていこうというものです。
 認知症未来社会創造センターは、そのような考え方を基本にして、すべての人が、認知症や障害の有無に関わらず、希望と尊厳をもって暮らせる認知症未来社会の創造をめざします。この目的を達成するために、私たちは、病院と研究所が協働して統合的データベースを構築し、多様なイニシアチブと連携した共同研究を推進し、予防、診断、治療、ケア、教育、地域づくり、政策づくりに関わる新たな技術や戦略の開発を進めます。認知症未来社会の創造に向けた意義のある研究を実施するために、認知症とともに生きる本人、家族、未来社会の創造に向けて活動される多くの方々のご支援とご協力をいただければと願っています。