理事長挨拶

       【経歴
        東京大学卒

       【専門領域
        老年医学
        老年薬学
        性差医学
       【所属学会
        日本老年医学会

        日本老年薬学会
        日本性差医学・医療学会

東京都健康長寿医療センター理事長
秋下雅弘

 日本は超高齢社会を迎え、人口の三割近くが高齢者です。1961 年に制定された国民皆保険、2000 年に施行された公的介護保険という世界に誇れるシステムを活用しても、大都市で高齢者に関わる諸課題を克服するのは容易ではありません。その大きな要因は、全国で600 万人を超えている認知症と、その予備軍ともいうべき軽度認知障害(MCI)の増加のスピードが早く、また絶対数が多いことにあります。
 2023 年に認知症基本法、正式には「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が成立し、2024 年より施行されました。この法律は、認知症の人が尊厳を保持し、希望を持って生活できるよう、国や地方公共団体に認知症施策の推進を促すことを目的としています。認知症未来社会創造センター(IRIDE)は、まさに認知症基本法に沿って東京都が行う事業の一つに位置付けられるのです。
 東京都健康長寿医療センターは、東京都のご理解とご支援を得て、複数箇所で行ってきた地域の健康調査データの連結と統合、物忘れ外来で10 年以上蓄積してきた、詳細な心理検査と先進画像検査、病理検査などの認知症データベースを統合し、認知症ビッグデータを構築して、新たなバイオマーカーの確立、個々人に適切な認知症予防の個別化医療の試みなどに研究事業を発展させていくため、「認知症未来社会創造センター」を継続し、新たな3年間の特別の重点課題とすることにしました。都民の皆様のご理解とご支援をお願いいたします。