心臓シンチ用半導体SPECT導入(日本バイオセンサーズ D-SPECT)

心臓シンチ用半導体SPECT導入(日本バイオセンサーズ D-SPECT)

心筋専用半導体SPECT装置であるD-SPECT (Spectrum Dynamics Medical Inc.)が導入されました。当センターは日本で13番目の導入施設です。

図1. D-SPECT装置
図1. D-SPECT装置

D-SPECTの最大の利点は、半導体検出器による高感度です。
通常のSPECTでは130 cps / MBqのところ、D-SPECT では850 cps / MBqと約6.5倍の感度と報告されています[1]。その高感度により、投与量を減らし、撮像時間も短く、さらにそれでも画像が美しいです。当院では、投与量は現時点で25%削減し、20分間の撮像時間が5-10分間と短くなっており、さらに画質も向上しています。
また、小型であり、座ったまま撮像できます。このような姿勢のおかげで、肝臓からの放射線による画質劣化を避けることができます。

図2. D-SPECTと通常のSPECTの画質の違い ひだり: D-SPECT みぎ: 通常のSPECT . D-SPECTでは側壁の虚血がきれいに描出されている。(←矢印)
図2. D-SPECTと通常のSPECTの画質の違い
ひだり: D-SPECT
みぎ: 通常のSPECT .
D-SPECTでは側壁の虚血がきれいに描出されている。(←矢印)

図3. 図2症例のブルズアイ表示 D-SPECTの方がLCX領域の虚血がはっきりわかります。
図3. 図2症例のブルズアイ表示
D-SPECTの方がLCX領域の虚血がはっきりわかります。

図4 図2-3の症例のCAG 3枝病変で、RCA, LADにも狭窄が認められますが、LCXは根元から完全閉塞でした。
図4 図2-3の症例のCAG
3枝病変で、RCA, LADにも狭窄が認められますが、LCXは根元から完全閉塞でした。

半導体検出器は、エネルギー分解能に優れ、今までのガンマカメラでは弁別が難しかった[99mTc] (140keV)と[123I] (159keV)の区別もできます。従来も[123I] と[201Tl] (70keV)との2核種同時収集は可能でしたが、D-SPECTでは[123I] と [99mTc]も使うことが可能となり、検査の幅が広がります。
心筋専用のカメラが増えたことで心筋の枠も増えました。負荷をかけずに虚血などがわかる[123I] BMIPP (2核種同時収集)の検査をお勧めします。負荷をかけなくても良いので、安心に検査を施行することができます。また、静注後15分後に撮像し、すぐに帰宅できます。共同利用のためのBMIPP (2核種同時収集)の枠も設定いたしました。

[1] Imbert L et al. Compared Performance of High-Sensitivity Cameras Dedicated to Myocardial Perfusion SPECT: A Comprehensive Analysis of Phantom and Human Images. J Nucl Med 2012; 53:1897-1903