脳動脈瘤

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➀脳動脈瘤が破れると、くも膜下出血を起こします。破裂する危険性は1年間に1%ほどで、それぞれの瘤によって破れやすさには差があります。
  • 動脈の壁がふくらみ、瘤をつくることがあります。脳ドックでは6%ほどの確率で発見されます。脳のすきまにできるので、ほとんどの場合は破裂するまで症状がありません。喫煙や高血圧が原因のひとつと考えられています。
  • 瘤が破れると、くも膜下出血という脳出血を起こします。これは脳に重い障害をきたし、半数以上が死亡するか介護が必要になってしまいます。
  • 瘤によって破れやすさには差があります。破れる確率には、年齢・性別・高血圧の有無・瘤のサイズ・部位・形状が関係します。表1、表2によって破れる危険性が推測され、治療方針をかんがえるときの目安になります。
  • ただし小さい瘤でも細い血管にできた場合は破裂しやすい可能性があります。
  • くも膜下出血は重症になることが多いですが、そもそも瘤が破裂する可能性は1年間にせいぜい数%です。手術をせずにそのままにしておいたほうがいいことも多いです。見つかってもあせらずに治療方針を検討しましょう。

表1.jpg表2.jpg

例1)75歳の女性で高血圧がある患者に、径8㎜の一部が膨らんだようないびつな形の動脈瘤が脳底動脈に発見された場合、表1のスコアを合計すると8点になります。表2を参照すると3年のあいだに破裂する危険性は7.6%(2.7-21%)と推測されます。

例2)65歳の男性で高血圧がない患者に、径5㎜の丸い瘤が中大脳動脈に発見された場合、表1のスコアを合計すると2点になります。表2を参照すると3年のあいだに破裂する危険性は0.6%(0.2-1.5%)と推測されます。

②破裂を予防する手術にはコイル塞栓術と開頭クリッピング術があります。
  • 一般的にコイル塞栓術のほうが、傷が小さく短い時間でおわり術後の経過が良いことがわかっています。しかし瘤の形や部位によって、開頭クリッピング術のほうが適している場合もあります。
  • コイル塞栓術は、瘤の中にコイルを入れ、血栓を生じさせて固めてしまいます。
    足のつけ根の動脈にカテーテルという直径1-2㎜ほどの柔らかい管を刺し、放射線で透視しながら腹、胸、頚、頭部の血管をとおって瘤の中まで進めます。ここからコイルというプラチナでできた柔らかい糸を巻き入れます。やがてコイルのまわりに血栓がつくられて固まります。

鼠径部.jpg

動脈瘤_ページ_1.jpg

  • 開頭クリッピング術は、瘤をクリップではさんで閉じてしまいます。
    頭皮を切って頭骨を開き、顕微鏡をつかって脳のすきまをわけて瘤を見つけ、クリップという洗濯バサミのようなもので瘤の頚部を挟みます。

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動脈瘤_ページ_2.jpg

③ご自身が納得できるまでじっくりと治療方針を考えましょう。手術をしない場合もしばらくは定期的に検査を受けましょう。高血圧の治療や禁煙、定期的な運動を行うことも大切です。
  • いくつかの研究をもとに治療方針をご紹介しましたが、これはあくまで統計上の一般的な話です。じっさいには患者さんひとりひとりの状況をもとに時間をかけて検討します。患者さんご自身もよく理解しなければいけません。わからないことがありましたら、遠慮なく担当医におたずねください。
  • 手術をしないことを選んだときも、しばらくは検査をくりかえしたほうが安全です。瘤が発見されたばかりのころには大きくなる可能性があり、その場合は破裂する危険性が高いため手術を行うことが多いです。とくに最初の2〜3年間は、半年から1年ごとに頭部MRI 検査などで観察をつづけたほうが安全でしょう。
  • 脳動脈瘤をもっている患者は、高血圧をもっている、喫煙の習慣がある、運動習慣が少ないといった傾向があります。
    動脈瘤を持っている患者を長く観察した研究では、死亡した人のうち原因がくも膜下出血であった人は24%だけでした。脳動脈瘤をもっている患者の多くは、くも膜下出血ではない原因で亡くなられていることになります。 
    ですから脳動脈瘤そのものの治療だけではなく、血圧管理、禁煙、定期的な運動を始めるなど、生活習慣をみなおすことも大切なのかもしれません。

※手術を受ける場合は、脳動脈瘤コイル塞栓術は4~6日程度の入院になります。下の標準的な日程表をご参照ください。

手術と周術期管理 食事 検査 点滴・注射
1日目:入院 鼠径部の毛を剃ってカテーテルの穿刺にそなえます。 食事と飲水に制限はありません。 水分を補給して腎臓を保護するために、点滴を開始します。
2日目:手術日 手術を行います。麻酔の時間も入れて3~4時間程度で終了します。術後4時間は穿刺した側の股関節は曲げられません。 朝から食事は中止です。手術前3時間から飲水も中止です。 点滴を続けます。必要時は抗血栓薬を点滴します。
3日目 食事と飲水を再開します。 頭部MRI検査で脳梗塞や脳出血がないこと、動脈瘤が閉塞していることを確認します。 点滴を終了します。
4~6日目 状態が安定していれば退院します。

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