高齢者のうつ病は、若年者のうつ病とは違った特徴があります。具体的には、①身体症状が目立ちやすい、②気分の落ち込みが目立ちにくい、③物忘れの訴えが出ることが多い、などといった特徴です。(老年期うつ病へのリンク)そのため、加齢による変化や様々な身体疾患、認知症と間違われやすく、長いあいだ診断されずに慢性化することもよくあります。
また、高齢者のうつ病は、長期的には、認知機能の低下や身体機能の低下につながりやすく、生活の質(QOL:日常生活の満足度や自立度)に大きな影響を与えます。そのため、高齢者のうつ病は、早期の診断と適切な治療やサポートの導入が重要になります。
老年精神科である東京都健康長寿医療センター精神科では、専門外来として「高齢者うつ病外来」を開設し、高齢者の特徴に合わせた、専門的な診断および治療を行い、ご高齢の方のメンタルヘルス向上に努めます。また、老年期うつ病の病因解明や適切な治療法の発展のための研究を行います。
診療の対象となる方は65歳以上の方で
・気分の落ち込みが続く・表情が乏しく、笑わなくなった
・外出や趣味をしなくなった
・身体の不調をで病院を受診しても内科的な原因が見つからない
・食欲が落ちて体重が減った
・何となく体がだるい
・悲観的な考えやお金や健康などについて過度の心配が続く
*ご予約の際は、必ず事前に紹介状をご準備下さい
初診時:精神科医師による診察とあわせ、医師の判断により心理検査、血液検査、心電図検査、頭部CT等を行います。
※初診時は問診票の記載、診察、検査等ありますので、数時間かかることがあります。
※予約時刻の1時間前の受診をお願いしています。予約時にご説明いたします。
2回目以降:状態に応じて、精査のため画像検査(頭部MRやRI検査)、心理検査などを行います。
病状によっては、入院治療を検討することもあります。
薬物療法以外にも電気けいれん療法やその他の治療を検討します。
症状が安定したら、紹介元に治療の継続を依頼します。
高齢のうつ病は高齢者では慢性化や再発を繰り返すことも多く、また、身体的な健康にも大きな影響を及ぼすことが知られています。早期の診断と支援が、今後のQOLを大きく左右します。まずはお気軽にご相談下さい。