脳のまわりは、くも膜という厚みのあるスポンジのような膜でおおわれています。脳の中には脳室という部屋があります。くも膜と脳室は「髄液」という水道水のような透明でさらさらとした水で満たされています。
くも膜の外は硬膜という固い膜で、さらに外は骨、筋肉、皮膚でおおわれています。
水頭症を治療するときは皮膚、骨、硬膜に穴をあけて脳室に管を入れます。
脳から背骨のなかへ神経の束である脊髄がのびています。この脊髄も、くも膜と髄液、硬膜でおおわれています。
水頭症かもしれない患者さんは、手術の前にしらべなければいけないことがあります。それは、① 髄液を抜いて症状がよくなるのか、② 髄液はすみやかに流れ出るのか、③ 髄液の圧力はどのくらいか、④ 髄液ににごりや感染がないか、といったことです。
ためしに髄液を抜くために頭を切って骨に穴をあけるのはたいへんです。そこで腰骨のすきまから針を刺して、脊髄の周りから髄液をぬきます。これがタップテストです。
① 外来にて
まずベッドに横になって丸くなります。
背中にしるしをつけて、局所麻酔を注射します。
麻酔が効くまでのあいだに、消毒、清潔な布をかけて、道具を準備します。
腰骨のすきまに針を刺します。針が入ると髄液がでてきます。中の圧力を測るなどします。
髄液をぽたぽたと、5~10分ほどかけて出します。なるべくたくさん、頭が痛くならない程度まで出します。
終わったら針を抜いて、30分ほど休んでから帰ります。
② 家にかえってから1週間後の外来まで
髄液が問題を起こしているのなら、これを抜いてから1-2日後に、歩きやすくなったり、話しかたがはっきりしたり、尿の回数が減ったりなど、症状が良くなることが多いです。しかし1週間ほどするとまた髄液がたまって症状も戻ってきます。
1週間後の外来でその変化を確認して、手術を行うかどうか相談します。