世の中の無理解から共生社会へ

 世の中の無理解から共生社会へ

 介護保険が開始された2000年頃、わずか20年目ですが、首都圏、大阪市、仙台市に在住する20歳以上の無作為抽出された 1,115人を対象とした調査結果では、45.6% が認知症は病気ではないと回答しています(本間昭 . 老年社会科学 . 2001;23:340-351.)。隔世の感がありますが、現在でも完全な払拭には至ってはいません。近所に認知症グループホームができることはどうですか?将来自分もお世話になるかもしれないのに、不動産の資産価値が下がるなどと思っていませんか? 普段使い慣れた言葉にも、思わぬ偏見が隠れています。当事者との懇談で、「徘徊」という単語に込められた偏見が指摘され、以降「認知症医療介護推進フォーラム」では、科学技術、創薬、福祉改革など全ての面で当事者団体(認知症の人と家族の会、当事者ワーキング)の参加を得て、討論提言を行ってきました。この精神は認知症施策推進大綱の「共生」に生かされています。   

 「共生」とは、認知症の人が、尊厳と希望を持って認知症とともに生きる、また、認知症があってもなくても同じ社会でともに生きる、という意味です。引き続き、生活上の困難が生じた場合でも、重症化を予防しつつ、周囲や地域の理解と協力の下、本人が希望を持って前を向き、力を活かしていくことで極力それを減らし、住み慣れた地域の中で尊厳が守られ、自分らしく暮らし続けることができる社会を目指すことが重要です。

 認知症を我がこととして捉えなければならない時代がもうすぐそこに迫っています。