折々の記(その2)
種痘
漫画「ひだまりの樹」で手塚治虫の先祖の手塚良仙などが、神田お玉ヶ池に種痘所を設置する奮闘記を読まれた方も少なくないと思う。
父は医師で種痘業務もしていた。行列に泣きながら並ぶ我が子を読んだ俳句が下段である。
天然痘は1980年に世界で根絶宣言された。1976年以降、日本での種痘は廃止された。そのため肩付近の種痘の跡で年齢がわかる。45歳未満の方は種痘の跡はない。当然ながら、天然痘に対する抗体価は45歳未満の方はゼロである。
しかし9.11以来、バイオテロに関し、米国だけでなく、本邦でも対策が取られてきた。米国でも本邦でも、これに備え、5000万人分の備蓄がされている。
種痘でも、副作用はあった。種痘は天然痘の撲滅に貢献したが、種痘後に脳炎を起こす事例が頻発し、「種痘後脳炎」と呼ばれ、数百人以上の犠牲者が出た。その多くは乳幼児で、脳の正常な機能は失われた障害者に対しては行政から何ら援助も保障も提供されなかった。
おりしも、新型コロナウイルスの副反応が数万人規模と報道されている。新型コロナ後遺症に対しては、医療の対応は不十分とはいえ、各所で漢方を含む薬物療法、リハビリ、心理療法など工夫がなされている。
一方、ワクチンの副反応に対する対応は、種痘と同じと思うのは思い違いだろうか?