長寿の俗説(その3)
糖質制限は長生き
男女で異なる 男性では 40%未満は1.6倍寿命短縮。
女性は65%以上を炭水化物から取る人は死亡率1.7倍
(Tamura: The Journal of Nutrition、2023)
主としてマウスやラットなどの動物ではカロリー制限によって寿命が延びることは古くから知られていました。人においての研究は208人を対象とした2年間の無作為割り付け前向き研究において、心血管系のリスク因子が減少したことから、正常体重者でも、25%のカロリー制限は有用としています。ただし、18%が制限食を断念しており、数十年にわたって順守できるかは分かっていません。(Ravussin E: Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2015 Sep;70(9):1097-104.)
加齢は慢性炎症であるという考え方が最近有力となっていますが、カロリー制限と慢性炎症を調べた研究では、25%のカロリー制限で、炎症の指標であるCRPやTNF-αなどが自由食に比べ半減したという報告があります(Meydani SN: Aging (Albany NY). 2016:1416-31.)
糖質制限は、糖質制限食によって、脂肪を主としたカロリー源にすることによって、過体重や肥満に有効とされ、長生き遺伝子 Sirt1も増えることがわかり、糖質制限ブームが起きています。
しかし長期縦断研究では、糖質の摂りすぎは1年程度の寿命の短縮が見られますが、過度の制限(糖質がカロリー全体の40%未満)では4年も寿命が短くなりました。総カロリーの半分程度が良いとされています。